2度申し立てても移転されなかった「別れさせ屋.jp」

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人知の及ばぬ32ビットの空間に、
名前がついたその日から、
見知らぬあなたと、見知らぬあなたに、
ウェブの糸がつながった
ドメインの織りなす運命を解き明かす
あらたな世界の扉が開かれる
それが、あなたの知らないドメインの.世界

 

 

同じドメインの移転を2度申し立てながら、2度とも「移転」ではなく「取消」となった珍しい事例があるのをご存知ですか?

 

そのドメインは、「別れさせ屋.jp」です。
別れさせ屋.jpは、2014年5月1日時点で、登録者名が「domain manager」とだけ記録されており、具体的な個人名や法人名は確認できませんでした。
ただし、実際に「別れさせ屋」サービスを提供していたわけではありません。Parking Crewを利用したドメインパーキングで広告を表示し、クリックによる収益を得ていました。

 

一方、後にこのドメインの移転を求める復縁屋株式会社は2014年3月に設立。別れさせ屋.jpがすでに第三者に取得されていたため、2014年10月に別れさせ屋工作.jpを取得し、2016年4月から「別れさせ屋」サービスを展開していました。

 

つまり、実際にサービスを提供していた側は別ドメインで営業し、完全一致する別れさせ屋.jpは広告パーキングに使われていたのです。
2017年、復縁屋株式会社はJPドメイン名紛争処理方針(JP-DRP)に基づき、別れさせ屋.jpを自社へ移転するよう申し立てます。
審理では、商標との同一・類似性、登録者に正当な利益がないこと、不正目的での登録・使用が認められました。

 

ところが、裁定は申立人が希望した「移転」ではなく「取消」でした。
「別れさせ屋」という名称について複数の商標権者が存在しており、特定の1社だけにドメインを移転させることは適切ではない、と判断されたためです。

 

さらに興味深いのは、1度目の取消後です。
2017年7月2日午前0時11分、Taka Enterprise Ltd.が別れさせ屋.jpを取得し、その約24分後にはKen Hosokawa名義へ移転されました。
しかも、最初の登録者「domain manager」の住所と、Taka Enterprise Ltd.の本社住所は、いずれも東京都新宿区西新宿3-9-3でした。同一主体だったとまでは断定できませんが、両者の関係をうかがわせる情報です。

 

復縁屋株式会社は再び移転を求めて申し立てました。しかし、2度目も結果は「移転」ではなく「取消」。その後訴訟も提起されましたが取り下げられ、2018年10月30日に取消裁定が実施されました。

 

では、その後はどうなったのでしょうか。
確認できる資料では、2019年1月1日に別れさせ屋株式会社が「サイトドメイン名を別れさせ屋.jpへ変更した」と告知しています。2度の取消を経て、ようやく実際の「別れさせ屋」サービスを提供する事業者の公式サイトとして使われるようになりました。

 

そして現在は、株式会社Azucarが運営する「別れさせ屋®さん」の公式サイトとして利用されています。
申立ての要件が認められても、希望したドメインが必ず手に入るとは限りません。「取消」ならドメインは再び登録可能になりますが、「移転」なら申立人のものになります。似ているようで、その後の運命はまったく違います。別れさせ屋.jpをめぐる2度の紛争は、ドメイン紛争における「取消」と「移転」の違いを、とてもわかりやすく示した事例と言えそうです。

 

【別れさせ屋.jpの遷移】

2014年5月
「domain manager」が別れさせ屋.jpを登録
広告パーキングとして利用

├─ 一方、復縁屋株式会社は
│ 別れさせ屋工作.jpを取得
│ ↓
│ 2016年4月からサービスを展開

2017年
復縁屋株式会社が1回目のJP-DRP申立て
「移転」を要求

裁定:「取消」

2017年7月2日 0時11分
Taka Enterprise Ltd.が再取得
↓ 約24分後
Ken Hosokawa名義へ移転

復縁屋株式会社が2回目のJP-DRP申立て

再び裁定:「取消」

2018年10月30日
2度目の取消裁定を実施

2019年1月1日
別れさせ屋株式会社が
別れさせ屋.jpへのドメイン変更を告知

現在
株式会社Azucarが
「別れさせ屋®さん」の公式サイトとして利用

 

参考
復縁屋株式会社 裁定 事件番号:JP2017-0001
復縁屋株式会社 裁定 事件番号:JP2017-0005
JP-DRP 裁定例検討報告書
gBizINFO 株式会社Azucar

 

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