火事でフランスのドメイン約6万件がダウン

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人知の及ばぬ32ビットの空間に、
名前がついたその日から、
見知らぬあなたと、見知らぬあなたに、
ウェブの糸がつながった
ドメインの織りなす運命を解き明かす
あらたな世界の扉が開かれる
それが、あなたの知らないドメインの.世界

 

 

火災によって、フランスに割り当てられているccTLD(国別コードトップレベルドメイン)「.fr」約6万件が、ダウンしたことをご存知ですか?

 

2021年3月10日未明、フランスのストラスブールにあるOVHcloudデータセンターで火災が
発生しました。
4つあるデータセンターのうち、SBG2は完全に消失。SBG1も大きな被害を受け電源を停止、
SBG3とSBG4は物理的な被害は免れましたが電源停止となり、消防車44台、消防士115人が
出動し、鎮火に6時間以上を要しました 。

 

この火災により、約360万のウェブサイト(計464,000ドメイン)がダウン。その内約59,600
件が「.fr」で、その割合は全「.fr」の約2%に上ります。影響を受けた中には、フランス国内
政府機関、銀行、企業、メディア、国際機関、さらには暗号通貨取引所(Deribit)も含まれ
ていました。

 

「.fr」に関するサービス停止は3月中旬に解消。「.fr」のレジストリであるAFNIC社は、
WHOISなどの機能復旧を最優先し、迅速な通信再開をサポートしました。OVHcloud社は
全ユーザーに標準バックアップを無料提供する方針に転換。ストラスブール以外のデータ
センターへシステム移行と復旧対応も実施しました。

 

大規模な火災となった原因は、木材フロアや縦構造の冷却システム「free cooling」換気構造
が炎の広がりを加速させた上に、自動消火設備が無かったことが挙げられています。
この火災は、物理的な災害がいかにインターネットに影響を与えるかを示す象徴的な事件
でした。また、クラウド依存のリスクやバックアップ体制の重要性を改めて示した重要事例
となり、欧州全体のオンラインインフラに重大な教訓を残したのでした。

 

参考
Fire At French Data Centre OVHcloud Takes Down 464,000 Domain Names
Millions of websites offline after fire at French cloud services firm
What was the Possible Cause of the OVHcloud Data Centre Fire in 2021?
3.6 million websites taken offline after fire at OVH datacenters

 

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