【第90回】日本初のドメイン裁判は1998年だった

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人知の及ばぬ32ビットの空間に、
名前がついたその日から、
見知らぬあなたと、見知らぬあなたに、
ウェブの糸がつながった
ドメインの織りなす運命を解き明かす
あらたな世界の扉が開かれる
それが、あなたの知らないドメインの.世界

 

 

日本初のドメイン裁判が1998年に行われたことをご存知でしょうか?

 

1998年11月、大手信販会社の株式会社ジャックスは、簡易トイレ通信販売会社の有限会社日本
海パクト(富山県富山市)に対してドメイン名「jaccs.co.jp」と商標の使用差し止めの民事訴訟
を起こし、日本初のドメイン名をめぐる民事訴訟に発展しました。

 

1998年5月、日本海パクトは「jaccs.co.jp」を取得。同年9月頃、ジャックスに対し同ドメイン
を有償で譲渡することを持ちかけましたが(※サイバースクワッティング)、ジャックスがこれ
を拒否すると、日本海パクトは同ドメインで「企業家支援集団心地よいゆりかご(Japan
Associated Cozy Cradle Society)」のホームページを開設。
「ようこそJACCSのホームページへ」という文言や、英略称として「JACCS」表記を使用した
ため、ジャックスは富山地裁へ同ドメインと商標の使用差し止めを訴えたのです。

 

ジャックスは「商標である「JACCS」はジャックスの営業表示として1976年から継続して使用
しており、発行するクレジットカードや従業員の名刺、全国ネットで流すテレビコマーシャル、
新聞広告に「JACCS」が使用され、全国的にかつ本来の需要者を超えて知られるようになって
おり、周知かつ著名になっている。被告は、その文字列が使用されたドメイン名を法外な値段
で譲渡または賃貸する目的で取得し、そのドメイン名を使用したWebサイト上で被告が販売す
る商品などの宣伝をしている。被告のこれらの行為は不正競争防止法の不正競争行為に該当し、
原告は営業上の利益を侵害される恐れがあるため、http://www.jaccs.co.jpの使用の差し止めを
求める」と主張。日本海パクトは、ジャックスに対して「取得したドメイン名(jaccs.co.jp)を高額
で販売することは当然」といった、妥当性を欠く趣旨の主張等で応じます。

 

2000年12月6日の一審判決で富山地方裁判所は、原告の主張をほぼ認め、「jaccs」の商標と登
録ドメイン名の使用差止請求を認容しました。富山地裁は、「ドメイン名は自己の名称等を示
す文字列などを登録している場合が多く、インターネットの利用者にとってもドメイン名が特
定の固有名詞と同一の文字列である場合などには、その固有名詞の主体がドメイン名の登録者
と考えるのが一般。「jaccs.co.jp」は、そのWebサイト上の表示内容の出所を識別する機能を有
しており、商品等表示の使用と認めるのが相当である」と結論付けました。しかし、判決を不
服とした日本海パクトが三審まで上告します。2002年2月に最高裁第二小法廷は二審の名古屋高
裁金沢支部判決を支持し上告審を受理しない決定を下し、ジャックスの勝訴が確定。国内初の
ドメイン名に関する裁判は、インターネット関係者や法曹関係者から大きな注目を集めました。

 

※サイバースクワッティング・・・後で高く売りつけるためにインターネットのドメイン名を
所得することに対する蔑称。

 

参考
『ウィキペディア(Wikipedia)』ジャックス (信販)
知的所有権判例ニュース
サイバースペースの法律

 

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